4月1日から義務化に!相続登記をしないとどうなる?

令和6年4月1日より相続登記が義務化されました。
親から相続した不動産は今まではやらなくても良かったのですが、今年の4月1日からは必ず相続登記をしなければ違法となってしまいます。
(相続登記が義務化されました(令和6年4月1日制度開始) ~なくそう 所有者不明土地!~東京法務局)

この記事では、義務化された相続登記を、もしやらなかったとしたら、どのような罰則や不都合が起こるのかを説明していきます。

義務化になった背景とは?

そもそも、今までやる必要がなかったものが、なぜ義務化されたのでしょうか。

ことの発端は、「所有者不明土地」の増加にあります。

国土交通省の調べによると、2016年の所有者不明土地の面積はほぼ九州の広さ(約360万ヘクタール)で、それが2040年には北海道の広さ(720万ヘクタール)へと、ほぼ2倍に膨れ上がることが予想されています。

これが、自治体にとってどのような不都合があるのかと言うと、

  1. 固定資産税が取れない
  2. 災害時の復興の妨げになる

ということです。

2つめの「災害時の復興の妨げ」とは、3.11の東北大震災の復興の際に、区画整理で土地の不明者が多く処理の妨げになり、大きな問題となりました。

これらの問題を取り除くことが、今回の相続登記の義務化の理由です。

義務に従わなかった事への罰則は?

義務化になったのですから当然、罰則もあります。

  1. 定められた期間内(3年)に相続登記をしない
  2. 氏名・住所などの変更手続きをしない

このような場合に、

正当な理由なく義務に違反した場合は10万円以下の過料(行政上のペナルティ)

が課せられる事になります。

詳しくは前回の記事で説明していますので、参照してください。

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相続登記はどこでやる?

基本的に不動産を引き継ぐこととなった相続人が、管轄の法務局で行います。ただ、引き継ぎ方で変わりますので、ここでは簡単に説明します。

1.遺言書による相続の場合

遺言書に当該不動産を相続させる旨記載のあった人が、登記の申請をします。

2.遺産分割協議による相続の場合

遺産分割協議の結果、当該不動産を相続する人が登記の申請をします。例えば兄弟間で協議し分割が決定した時は、基本的には相続人全員が登記をします。

3.法定相続分による相続の場合

法定相続とは、遺産を遺して亡くなった被相続人の相続において、各相続人の取り分として法律上定められた割合で分割を行います。この場合も、相続した人たち全員が登記することとなります。


相続登記は相続した人が管轄の法務局で行うのですが、代理人を立てて行うことが可能で、登記関係は司法書士が代行できます。

相続登記しなかった場合の最大のリスクとは?

義務化されたにもかかわらず、相続登記をしなかった場合に注意したい点があります。それは「10万円の罰金」などではありません。もっと大きなリスクが存在するのです。

下図を見て下さい。

祖父名義の家屋を「相続登記をしない」状態で受け継ぎました。数年後、その家をリフォームをしたいと考え、銀行にローンの借入相談に行きましたが、当然「名義が亡くなった祖父」のものですから、担保にできずローンを借りることは拒否されました。

すぐに名義変更の為に「相続登記」を始めたのですが、祖父が亡くなってから年月が経っているために、なんと法定相続人が99人という状態となっていました。

このケースで当人は、99人全員に連絡を取り続け、自分名義に登録変更する事ができましたが、その期間は2年掛かっています。

この話は実話で、祖父ともなると相続人は、祖父の兄弟とその子孫、そして子孫の子ども達と、実に「ネズミ算」式に増えてしまいます。

これは実際にあった「実話」です。

この実際に合った事例では、➀のように「奇跡的に整理ができた」ケースで、実にラッキーでした。

多くの場合➁のように、見ず知らずの相続人が現れ、すんなりと相続を認めてくれない事が多いです。その場合には民事裁判で決着する必要があり、裁判費用もかかり、とにかく年月が掛かります。

罰金の10万円どころではなくなりますので、注意が必要です。

まとめ

このように、親の実家など相続をしたら、できるだけすぐに相続登記をする必要があることは、お分かりになったと思います。罰金の10万円はもちろん嫌ですが、上記の事例のような混乱状態を避けるためにも、相続登記はすぐにやりましょう。

以上、4月1日から義務化された相続登記を「もし怠った場合の大きなリスク」について説明をしてきました。最後に・・・

  • 親の実家を相続したが、そのまま所有する予定は無い
  • 使用しないので、できるだけ高値で売りたい

という予定の方には、空き家や訳あり物件を専門に扱う不動産業者がいます。

空き家に係る法律にも詳しい専門不動産会社ですから、売却を考えているのであれば、一度連絡をしてみるのも良いかも知れません。面倒な法務関係もすべて解決してくれます。

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